人工椎間板

頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症に対する新しい手術が始まります!

頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症に伴う神経障害(脊髄症、神経根症)に対して、これまで本邦では前方からの手術法として、前方除圧固定術が主に行われてきました。この手術は全世界で広く行われ安全性・効果のバランスの取れた非常に有用な手術です。一方で、固定することで椎間本来の可動性を犠牲にするという欠点に加え、固定隣接部の障害が新たに発生し得るという問題があります。

それに対し、人工椎間板置換術は、椎間板を摘出した後に可動性を有するインプラントを設置する手術手技で、椎間の可動性を保持し、隣接部での障害の発生を防ぐという新しい治療方法です。

米国では Food and Drug Administration(FDA)が 2007 年に認可して以降、7 種類の製品が 承認され、近年では年間 10,000 例以上の頚椎人工椎間板置換術が行われています。 

米国 North American Spine Society (NASS)の頚椎症性神経根症に関するガイドラインでは、 「1 椎間レベルの神経根症に対する頚椎人工椎間板置換術の短期成績は、前方固定術と同等で ある」と記載されています。また、英国 National Institute for Health and Clinical Excellence (NICE)のガイダンスにおいても「頚椎人工椎間板置換術に関する現在のエビデンスは、術後短期成績について固定術と同等の有効性を有し、長期的に再手術を減らす可能性がある」とされています。

本邦でも平成29年に頚椎人工椎間板置換術が承認され、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症に対して実施することが可能となりました。しかし、手術難易度は通常のものより高く、ごく限られた施設・術者のみが行うこととなっています。当院もその施設の一つであり、この手術が施行可能です。ただし、全ての方にこの手術が適応となるわけではありませんので、診察・検査ののちに適応であるか判定させていただきます。治療をご希望の方は脊椎・脊髄・末梢神経外来を受診してください。