神経内視鏡・下垂体センター

神経内視鏡手術とは

近年、外科治療に対する低侵襲性の追求から、様々な疾患の治療において内視鏡手術が急速に発展、普及してきています。その中で、脳神経外科領域でも、専用の内視鏡を使用した“神経内視鏡手術”としてめざましい進歩を遂げてきております。日本では1990年代に普及し始めましたが、当院では1998年より、本格的に導入され成果をあげています。

脳神経外科においては、元来開頭して脳を圧排しながら顕微鏡下で頭蓋内を手術する“開頭顕微鏡下手術“が行われてきました。これに対し”神経内視鏡手術“とは、頭蓋骨に10円玉程度の小さな孔をあけて行う”穿頭手術(せんとうしゅじゅつ)“や、鼻の孔を通して行う”経鼻手術“において、神経内視鏡を使用し、脳への侵襲を少なくして頭蓋内の処置を行う手術法です。

したがって、開頭手術と比較し、神経内視鏡では手術創部の問題や脳神経への損傷のリスクが軽減されるため、低侵襲と言えます。ただし、手術技術や内視鏡器具は専門性が高いため、不十分な準備で手術が行われると、通常の手術より健康被害、手術合併症が大きくなる危険性があり、神経内視鏡手術に対する充分な知識、適切な手術手技の習得が不可欠です。現在、神経内視鏡手術の基本的技術の発展、普及を図るため、日本神経内視鏡学会では、技術認定制度がすでに発足されています。

当院での神経内視鏡手術

当院においては、神経内視鏡手術は先ほど述べた通り専門性、特殊性が高いため、2017年4月より「神経内視鏡・下垂体センター」を開設し、神経内視鏡技術認定医(当院在籍5名)や専門スタッフによる神経内視鏡チームとして、各疾患に対し神経内視鏡手術の適応を慎重に検討し、手術治療を行っています。当院では主に、下垂体腫瘍をはじめとした間脳下垂体疾患に対する内視鏡下経鼻手術、水頭症に対する脳室鏡手術(穿頭手術)、脳内出血などの内視鏡下血腫除去術を行なっております。

下垂体腫瘍

中脳水道狭窄症による閉塞性水頭症

当院における神経内視鏡手術の適応疾患

内視鏡下経鼻手術下垂体腫瘍、ラトケ嚢胞、頭蓋咽頭腫、髄膜腫、胚細胞性腫瘍など
脳室鏡手術閉塞性水頭症、脳室内腫瘍など
血腫除去術脳内出血、脳室内出血、慢性硬膜下血腫など

2020年3月17日更新
センター長
脳神経外科 副部長
石渡 規生