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脳血管内治療センター

脳血管内治療センターを開設いたしました。

脳血管内治療とは、カテーテルという細い管を、手足の付け根の血管から挿入して、頭蓋内や頸部等の疾患を治療する方法や特殊な検査の総称です。

中村記念病院では、1990年から2012年までの間に、約1500回の脳血管内治療を行ってきました。このうち脳動脈瘤に対する治療523件。脳動静脈奇形に対する治療135件。頸動脈ステントおよび頸部血管ステント104件。硬膜動静脈おるに対する治療71件。脳血管攣縮に対する血管拡張療法129件。脳血管内血栓に対する血管再開通療法128件。頭蓋内腫瘍に対する栄養血管塞栓術64件です。

脳血管内治療で、最も大きな進歩は1997年に認可された脳動脈瘤用の電気離脱式コイルの登場です。これは、動脈瘤の内部を柔軟性が高いプラチナ製コイルで充満させて動脈瘤の破裂を防止する方法です。開頭クリッピング術以外では、治療が困難であった脳動脈瘤を、頭を開けずに治療出来るようになった事は、大きな衝撃でした。どんなに優れた技術を持った脳神経外科医でも頭部を切開せずに動脈瘤を治す事は不可能だからです。現在までの15年間に、様々な改良が加えられ、単純なプラチナ製だけでなく、種々のコーティングが施されたコイルも開発されています。保険承認されて15年が経過し、多数の経験がなされ、長期経過も明らかになり、一般的な治療として確立されています。2010年には頭蓋内ステントというコイルの脱落を防止する器具も認可されています。

次の進歩は、頸動脈ステント治療です。これはステントと呼ばれる金属製の網で細くなった血管を広げる方法です。中村記念病院では1997年に初めて頸動脈にステントを使用しましたが、実際に日本で保険承認されたのは2007年で、外科治療の危険性がある患者さんに限って使用が認められています。

最近では、2010年、2011年に相次いで認可された血栓回収器具の登場があります。以前から、脳の血管にカテーテルを入れて血栓溶解剤を注入したり、風船で血栓を破砕する方法は行われていましたが、脳の血管を詰まらせた血栓を直接回収したり吸い出す器具が登場しました。これによって超急性期脳梗塞の患者さんに対する治療方法が格段に前進しました。

このように、新しい技術が登場し、効果が明らかになると次々と改良が加えられ進歩している分野です。一方で、適応となる症例が限られている点、新しい治療ほど長期の経過が不明である点、頻度は低いものの重篤な合併症が起こりうる点等、まだ多くの課題もあります。

今後、脳血管内治療の分野を更に発展させるべく、脳血管内治療センターとして新たな体制で取り組んで行く事となりました。新しい分野である為、国内他施設と共同で臨床試験を行ったり、データを共有する等の取り組みも必要になります。また、後進の医師に対する教育や技術の伝達も、重要な使命で有ると考えています。患者さんのご理解と、ご協力をお願いする次第です。

当院の脳血管内治療に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームをご利用ください。

センター長
脳神経外科 主任医長
荻野 達也