複数ポータル式灌流型脊椎内視鏡手術(UBE)

中村記念病院 脊椎脊髄・末梢神経・脊損センターでは、新しい低侵襲脊椎手術である

「複数ポータル式灌流型脊椎内視鏡手術(UBE:Unilateral Biportal Endoscopy)」を導入しました。

従来よりも筋肉・靭帯・支持組織への損傷を少なくし、術後の痛みが少なく回復を早めることが期待できる“身体にやさしい脊椎手術”の新しい選択肢です。

UBEとは

背中に約1cmの小切開を2か所設け、片方に内視鏡、もう一方に手術器具を挿入して行う灌流型脊椎内視鏡手術です。

従来法の3〜5cm切開と比べ傷が小さく、筋肉・靭帯の剥離が少ないため、術後の痛みが軽く回復が早いのが特徴です。

単ポータルのFESS(Full-Endoscopic Spine Surgery)より器具操作の自由度が高く、顕微鏡手術に近い精度で安全な除圧が可能です。

従来手術 3-5㎝

UBE 1㎝前後が2つ

治療の適応

【対象疾患】

– 腰部脊柱管狭窄症

– 腰椎神経根症

– 腰椎椎間板ヘルニア

– その他、適切な神経除圧が必要な病態

【適応判断について】

脊椎の状態には個人差があるため、この手術に向かないものもあります。当センターでは安全性と治療効果を最優先し、UBEと従来法(顕微鏡手術・固定術など)を比較したうえで最も適した治療法をご提案しています。

当院が導入した理由

脊椎脊髄手術の高度急性期医療を担う当院では、専門医の経験・チーム体制・安全管理が整ったため、UBEを安全に提供できる体制が確立しました。

【学会基準(抜粋)】

– 全身麻酔下での脊椎手術が可能な施設

– 複数の脊椎専門医が常勤

– 合併症時の他科連携が可能

– 症例登録体制あり – 術者は腰椎後方手術100例以上+講習会修了

2025/2

City of Boca Raton

Palm Beach County

Florida, United States of America

手術のメリット

– 傷が1cm×2か所と小さく美容面で優れる

– 筋肉・靭帯の損傷が少なく術後痛が軽い

– 出血量が少ない

– 翌日から歩行開始しやすい

– 社会復帰が早い

– 拡大視野による正確な除圧が可能

手術の流れ

  1. 1.外来受診(診察・MRI/CT)
  2. 2.十分な保存治療のうえ手術適応を判定
  3. 3.術前検査入院(血液・心電図・神経検査)
  4. 4.手術前日入院
  5. 5.全身麻酔下でUBE手術
  6. 6.術翌日から歩行開始
  7. 7.入院の目安:5~7日
  8. 8.外来フォロー

※術後は早期離床・早期社会復帰が期待できます。

よくある質問

傷はどれくらいですか?約1cmの小切開を2か所行います。
すべての症例で可能ですか?不安定性や骨変形、病変の位置によって適応外となる場合があります。 
当院では複数の術式から最適と思われる方法を提案します。
危険性はありますか?硬膜損傷や神経損傷など、種類は従来の脊椎手術と同等です。
当院では学会基準に基づき安全管理を徹底しています。
復職の目安は?デスクワークは1〜2週間、肉体労働は3〜6週間が目安です。

医療機関の先生方へ

以下の症例紹介を承ります:

– 腰部脊柱管狭窄症(片側/両側)

– 腰椎椎間板ヘルニア

– 上位腰椎の限局病変(適応判断)

– 再手術例

紹介状には主訴・神経所見・内服歴・MRI/CTをご添付いただけますとスムーズです。

お問い合わせ

中村記念病院 脊椎脊髄・末梢神経・脊損センター長 大竹 安史

〒060-8570 札幌市中央区南1条西14丁目291

TEL:011-231-8555(代表)