くも膜下出血

くも膜下出血とは、脳の底の部分を流れる太い動脈にできた膨らみ(動脈瘤)が、破れることでおきることがほとんどです。

動脈瘤が破裂すると、突然頭をハンマーで殴られるような激しい頭痛と吐き気を自覚し、出血の程度が強いとそのまま意識を失ってしまいます。

くも膜下出血の恐ろしいところは、一度自然に血が止まっても、数日以内に再度出血をおこす危険性が高いことにもあります。再出血は最初の出血から24時間以内に最も多く、再出血をきたすと救命が非常に困難となります。ご家族が急に頭が痛いと叫んで、そのままいびきをかいて反応がなくなるようなことがあったら、ゆすぶったり叩いたりなどの刺激を与えず、救急車を要請してください。

くも膜下出血は、脳梗塞・脳内出血と異なり、高血圧や糖尿病などの基礎疾患の有無に関係なく、健康で普通に生活していた人にも突然起きてしまうことのある病気です。破裂してしまうと、1/3の方は残念ながらお亡くなりになり、1/3の方には後遺症が残ってしまいます。破裂する前にこの動脈瘤を治療することができれば、くも膜下出血を予防することができることになります。今は、MRAというとても優れた検査で、この動脈瘤の有無を調べることができます。何も症状はないけれども、動脈瘤の有無を調べてみたいという方は、脳ドックなどの受診もご検討ください。ただし、破れていない未破裂動脈瘤が見つかった場合、どのような場合に治療を行うべきかは、いまでも議論のあるところです。私どもの法人では、学会のガイドラインをベースに患者さんのご希望を勘案し、手術の適応を厳格に検討させていただいています。