リハビリテーション部門

当院のリハビリテーション部門は、理学療法科、作業療法科、言語療法科、物理療法科からなり、脳神経外科を中心に、脳神経内科、整形外科などの急性期から維持期までの患者さんを対象にリハビリテーションを提供しています。
総勢約50名の若く明るい活気ある療法士が、日々の業務と研鑽に取り組んでいます。

    急性期リハビリテーションについて

    当院では急性期リハビリテーションに力を入れており、特にHCU(準集中治療室)、SCU(脳卒中ケアユニット)の患者さんに対しては、専任の理学療法士、作業療法士を配置し、発症後早期からのリハビリテーションを提供しています。
    急性期の治療や看護と併行して、安静状態が長期に渡って起こるさまざまな心身機能の低下の予防を図り、機能改善や早期の身の回り動作獲得を目指し、患者さんの病態に合わせたプログラムを立案し、理学療法士、作業療法士、言語療法士、医師、看護師などの専門医療スタッフが、チームアプローチによる急性期リハビリテーションを実践しています。

    HCU( High Care Unit …高度治療室)

    HCUは14床を有し、生命維持管理が必要な患者さんや術後の患者さんが入室されています。当院では医師や看護師と連携し病状を確認の上、できるだけ早期に体を起こし、座り、立ち、歩くことを念頭に早期回復に向け急性期リハビリテーションを実践しています。

    SCU( Stroke Care Unit …脳卒中ケアユニット)

    SCUでは、専門医療スタッフが急性期から濃厚な治療・リハビリテーションを組織的に計画性をもって行う脳卒中専門の治療病棟です。発症から14日以内の患者さんが対象となります。
    当院のSCUは、3階、4階病棟に各6床(男性3、女性3)、計12床を有しています。医師、看護師と密な情報交換を行い、早期から体を起こすことはもちろん、歩行訓練、上肢機能訓練、高次脳機能障害へのアプローチ、言語訓練、日常生活動作訓練などのリハビリテーションを包括的に実践しています。

    NASVA病床について

    当院では北海道内で唯一、独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)からの委託を受けた病床(NASVA病床:12床)を運営しており、自動車事故による脳障害によって遷延性意識障害を生じた患者さんに対して、最大限の機能回復を図ることができるよう、リハビリテーションを提供しています。

    治療や看護ケアと併行して、様々な刺激(運動療法、作業療法、言語療法、摂食・嚥下機能療法、音楽療法など)により意識障害レベルとともに心身機能レベルの改善に取り組んでいます。

    また、表面筋電図を使用した筋収縮刺激、ペーサー・ゲートトレーナー(歩行補助具)を用いた歩行訓練、伝の心(意思伝達装置)を用いたコミュニケーション訓練などを患者さんの病状に合わせて積極的に取り組んでいます。

    理学療法科

    理学療法とは

    患者さんの病態に合わせて、関節可動域の拡大、筋力強化、麻痺の機能改善など運動機能に直接働きかけ、寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行などの動作能力訓練を行い、日常生活の改善を図ります。

    当院の理学療法の特色

    脳神経外科、脳神経内科、整形外科、内科などの診療を持つ当院では、病態に合わせて専門的に理学療法を進めていきます。

    脳血管疾患入院早期、HCU入室時から理学療法を開始します。病状に合わせて、手足の運動、座位訓練、車椅子乗車など早期離床を促します。状態が安定してくると立ち上がり、立位訓練、歩行訓練などを開始し、回復段階に合わせて平行棒内での歩行から手すり、杖へと変化させながら進めていきます。
    脳神経内科疾患当院はパーキンソン病の方、各脳神経内科疾患の方も多く入院されているため、一日の体調の変化なども聞き取りながら、個々の状態に合わせて行っていきます。
    整形疾患手術後の方も多いため、カンファレンスなどを通じて、整形外科の医師の細かな指示のもと進めて行きます。
    内科疾患病状に合わせて内科の医師と連携を図りながら行なっています。
    在宅復帰に向けて、車椅子への移乗・駆動やトイレまでの歩行での移動、トイレ動作など病棟で訓練することもあります。少しでも身の回りの事が自分で出来るようにお手伝いしていきます。ご本人さんやご家族と相談し家の状況を聞きながら退院に向けた理学療法を実施したり、回復期リハビリテーションを経由した在宅復帰なども視野に入れた理学療法を行っています。

    作業療法科

    作業療法では、病気や事故により障害を負った方々に対し、今後生活していくための問題を的確に評価し,身体機能だけにとどまらず、その人らしい生活を獲得できるように色々な作業活動を用いて治療を行っています。

    当院作業療法科の対象疾患

    脳神経外科疾患、脳神経内科疾患、整形外科疾患(上肢を中心に)、内科系疾患の患者さんの作業療法を行っています。

    作業療法の目的

    • 身体への働きかけ

      上肢(手や腕)を中心に関節の動き筋力などの維持・改善を図ります。麻痺のある部分だけでなく、健康な部分でも最大限に活用できるように訓練します。
    • 高次脳機能への働きかけ

      生活に必要な時間・物の取り扱い・周囲の状況の認識、物事の記憶、計算、動作の順序や方法を決定し遂行していくなどの能力を評価し訓練します。
    • 心への働きかけ

      作品づくりやレクリエーションなどを通して意欲を引き出したり、不安を和らげたり、自信づけを行います。
    • 日常生活動作への働きかけ

      食事や着替え、トイレや入浴などの身の回りの動作や家事動作訓練を行います。
    • 職業復帰への働きかけ

      職業への復帰や就職に向け 、基礎的な能力や耐久性の向上、環境調整などを行います。

    今後の生活を患者さんやご家族と相談し、様々な角度から患者さんのリハビリをサポートしています。

    言語療法科

    当科では、専門職である言語聴覚士が、脳損傷による失語症・構音障害・高次脳機能障害の方たちに言語聴覚療法を、嚥下障害の方たちに摂食機能療法を実施します。

    失語症とは?

    脳の言語中枢が損傷されることで起こります。
    全く話せない、ことばを思い出せない、言い誤りが多く何を言っているのか伝わらないなど、普通に話すのが難しくなります。
    また、ほとんどの方が理解・書字・読字・計算にも困難を伴います。コミュニケーションが成立せず、ご本人も廻りの方たちも大変な思いをされることが多くあります。
    言語能力全般の回復に向けたアプローチに加えて、話すこと以外の手段を活用するトレーニングなどにより、コミュニケーションの幅と質を高めて行くのが言語聴覚療法の目的です。

    構音障害とは?

    うまく発音できない、滑らかに話せない、などの症状です。脳損傷が原因となる場合も多くあります。
    聞き手に一度で伝わる話ができるように、また、障害が重い場合には代替手段を獲得して、より効率の良いコミュニケーションができるように、言語聴覚療法を実施します。

    高次脳機能障害とは?

    脳損傷により、注意機能、思考・判断、記憶、行動などに障害を来した状態です。これらの症状に対する評価および言語聴覚療法を実施し、家庭復帰、社会復帰のより早い実現を目標に、リハビリテーションを進めています。

    嚥下障害とは?

    疾病や加齢のために飲食物や唾液をスムーズに飲み込めなくなる症状です。
    気管に飲食物・唾液が入って誤嚥を引き起こし、肺炎の原因となる危険もあります。
    当院では、耳鼻科医、栄養士、看護師等と協力態勢を組み、誤嚥を防止し、安全に食べられる可能性を追求すべく、摂食機能療法に当たっています。

    物理療法科

    患者さんの一日も早い回復のために、電気、温熱、光線、牽引等の物理療法と手技療法を行います。さまざまな症状や障害を改善する目的で、一人一人の患者さんに最適な治療を安全に提供できるよう努めています。外傷、整形外科疾患の患者さんには、外固定、装具の製作により、苦痛、疼痛の緩和に努めています。