会長挨拶

第23回日本意識障害学会 会長 中村 博彦(社会医療法人 医仁会 中村記念病院 理事長・院長)

 第23回日本意識障害学会を、平成26年8月22日(金)と23日(土)に札幌市のロイトン札幌で開催させていただきます。伝統ある本学会を北海道で最初に開催することになり、大変光栄に感じております。

 私自身が本格的に意識障害の患者さんにかかわるようになりましたのは、平成19年に自動車事故対策機構(NASVA)の委託病床が北海道で中村記念病院に指定されてからです。私自身が意識障害に関して力量や経験が不足していることは否めませんが、諸先生方に御協力いただき、病院職員一丸となりまして全力で学会を運営いたしますので宜しくご指導の程をお願いいたします。何分不慣れなために皆様方には失礼なことが多々あると思いますが、職員だけで運営する手作りの学会ですので御容赦ください。

 意識障害患者さんの治療は「チーム医療」の最たるもので、主治医はチームリーダーではあっても、看護師やリハビリテーションのスタッフ、MSW、患者家族の方々も含めてチーム全体で力を合わせ患者さんの治療や支援に取り組まなくてはなりません。本学会では医師の他に、ご家族を含む患者さんに関連するあらゆる職種の方々に参加していただきたいと思っています。

 鈴木明文先生が主催された昨年の秋田での学会メインテーマが「意識障害の治療―その足跡をたどる―」でしたので、本学会は「意識障害の治療―現在と未来―」をメインテーマといたしました。意識障害患者に対する現状でのベストの診断と治療を確認するとともに、将来に希望が繋がる学会になればと思っています。

 特別講演としては、札幌医科大学の本望修教授に神経再生医療について、北海道医療大学の石垣靖子先生に意識障害者の看護についてご講演を予定しています。特別シンポジウムは、「意識障害の診断および治療の最前線」、「音楽療法」、「慢性期軽度意識障害の評価スケール」の三つで、シンポジストの方々には大変ご無理を言ってお願いいたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。シンポジウムは、「家族支援・自立支援・在宅医療」と「チーム医療」の二つで、現場の方々の活発なご討論を期待しています。なお、教育講演は国立循環器研究センターの柳本広二先生、前千葉療護センター長の岡信男先生、札幌医科大学の石合純夫先生にお願いしています。

 今学会は北海道で初めての開催ですので、全国から参加した会員の方々に北の大地の底力をお見せしようと、当院を含め道内の諸先生方に多くの講演をお願いしています。当院や北海道に偏り過ぎているとの御批判はあると思いますが、北の大地でも会員の皆様方と同じように日々研鑽し努力している姿を御披露できればと思ったからです。

 学会の期間中は、本州ではまだ猛暑かと思われます。北海道を訪れて良かったと思っていただけるように、天候に恵まれた夏の北海道を存分に楽しんでいただけることを期待しています。本学会が、意識障害になった患者さんや家族の方々に少しでもお役にたてれば幸いです。

 プログラムの表紙は当院の建物を使用させていただきました。亡き父が大脳と小脳をイメージして設計した建物で、連結している低層の部分が脳幹に相当します。意識障害を考える上で本学会に相応しい図案と考え採用させていただきました。