脳内出血は、一般に高血圧症が原因となって発症します。高血圧が持続すると、脳内の穿通動脈と言われる細い動脈に血管壊死が生じ、次いで微小動脈瘤が形成され、血圧の急激な上昇による機械的ストレスによって、この微小動脈瘤が破裂すると脳内出血になります。

 本邦での脳内出血による死亡は1960年頃より減少の一途をたどり、1990年には約5分の1まで減りました。これは、栄養状態の改善に加え、高血圧患者の受診率の上昇と安全で有効な降圧薬の開発による効果と考えられています。しかし、近時、脳内出血患者の実入院数はむしろ増加しており、高齢化による患者数の増加と脳内出血自体の軽症化が反映されていると考えられます。

 脳内出血の症状は、出血の部位とその大きさで決定されますが、急性の経過で、しばしば激しい頭痛と嘔吐、片麻痺、意識障害、けいれんなどが出現します。発症は日中の活動時に起こることが特徴的です。

 脳内出血の診断は、急性期にはX線CTが有用ですが、慢性期の陳旧性血腫の診断には、発症時期を推定できるMRIが用いられます。

 脳内出血の治療は、軽症例では内科的治療が行われ、中等症〜重症例では外科的血腫除去手術が考慮されます。意識障害のある場合には、救命を目的として、意識レベルや呼吸、血圧、循環の変動を時々刻々把握する必要があります。血圧 (収縮期圧) が200mmHg以上と高い場合には降圧薬を使用し、出血の増大を防がなければなりません。したがって、脳内出血の場合も脳梗塞と同様に、発症後直ちに脳卒中専門医のいる医療施設への搬入と、正確な診断・適切な治療の開始が重要です。

 脳内出血の外科治療は、救命を目指す開頭血腫除去術と、圧排による脳障害の程度を軽減する穿頭血腫吸引術に分かれます。前者の手術は、大きな出血が対象となりますが、昏睡例では良好な予後は期待できません。後者の手術は、頭蓋骨の小孔から血腫内に吸引チューブを定位的に挿入し、血腫を溶解させて除去する方法です。術前の意識障害が比較的軽症で、全身状態も安定していることが、この治療の条件となります。

 高血圧症を原因とする脳内出血は、降圧治療の普及により確実に軽症化していますが、発症頻度の減少は確認されておらず、脳卒中に対する予防医学の普及・啓蒙が重要と考えられます。